焼肉図鑑

食べ歩いた焼肉屋を記録しているブログ 日本全国の焼肉屋を食べ歩き記録することが目標

Meets Regional焼肉特集から読み解く焼肉流業界の行り廃り

関西圏を中心に販売されている雑誌Meets Regional(ミーツリージョナル)

嬉しいことに約10年前後のスパンで焼肉特集を実施してくれています。

過去のバックナンバーから順に現代に戻ってくるように読んでみると、焼肉業界を取り巻いている環境や、流行り廃りを読み解くことができます。おもろい。

 

挑戦的なタイトルが目を引く気合が乗りまくった初特集 1996年

Meets Regional(ミーツリージョナル)にて「焼肉特集」が初めて組まれたのは、なんと1996年。

ひーー、今から25年以上も前になるのですね。

 

このときのキャッチコピー、相当挑戦的です。

 

出典:Meets Regional(ミーツリージョナル) 1996年81号

 

「あなたが食べているより絶対うまい焼肉」

 

なんと、挑発的なコピーでしょうか。

 

私たちが食べている、笑顔にんまりの焼肉屋よりも、この特集で紹介されている焼肉屋の方が「絶対にうまい」と断言しているのです。

 

調べてみると食べログのスタートが2005年。

 

1996年当時は飲食店の情報を得られる機会と言えば、テレビや雑誌が、そしてリアルなクチコミが全ての時代です。

 

そんな時代だからこそ、雑誌が総力をかけて調べた焼肉屋たちは普段食べている焼肉よりも「絶対にうまい」と豪語できていしまうわけですね。

 

掲載されている焼肉屋たちの顔ぶれをみると、今の時代でもレジェンド店として存続しており、高評価を得ている店もたくさん掲載されています。

 

当時は、まだまだお店ができたばかりだったのでしょうか?今のスタイルとはかけ離れたポイントを売りにしているお店もあり、その点も面白いですね。

 

出典:Meets Regional 1996年9月1日号 あなたが食べているより絶対うまい焼肉

鶴橋を代表する焼肉屋となっている「空」もこの特集では金玉の刺し身を提供する店として取り上げられていました。

 

霜降信仰が終焉し、赤身がフューチャーされ始めた2000年代

焼肉特集は、初回の1996年から長い間封印されていたようで、次なる特集は2008年まで飛びます。

実に12年ぶりの特集です。

 

雑誌をぱらぱらと見ていると時代を感じされるコピーがありました。

 

出典:Meets Regional(ミーツリージョナル) 2008年236号

 

「さらば、霜降り神話。焼肉は赤身の時代。」

 

今でこそ、赤身が好き!という人は多数存在しますが、雑誌にわざわざ書くということは、このタイミングの前後までうまい肉と言えば霜降り!という常識が定着していたのかもしれません。

 

また、画像を見ると部位ごとに名称がついており、これも1996年特集ではなかなか見ない表記です。2,000年代に入ってから急速に部位を分けることにより「希少部位」と呼ばれる肉たちが生まれてきたのでしょうか?

レア部位という名前で紙面にも紹介されていたりします。

 

焼肉って大衆料理じゃなかったっけ?わざわざ表記するということは高級路線の焼肉も台頭してきている

焼肉って大衆料理じゃないの?と思ってしまう訳ですが、わざわざ大衆焼肉という言葉がチョイスされるということは、

 

大衆的ではないお店が増えていることを示唆しています。

 

出典:Meets Regional(ミーツリージョナル)

 

実際に高級路線の焼肉屋が増えてきていたタイミングだったのでしょうか?2016年の特集では大衆焼肉と呼ばれる、古くから愛されているお店たちを特集しています。

 

2000年代の前半では、部位の細分化が

2000年代の後半では、価格帯(ターゲット)の細分化が顕在化していた時期なのかもしれません。

 

2023年の特集ではサイドメニューにも注目が

肉も客も分け終えた後に残っていたのは、サイドメニューへのこだわりと生産者自体へのアプローチだったようです。

 

2023年2月1日発行の415号では、肉はもちろんのことですが、

 

 

 

そもそもの生産者へのアプローチが見て取れます。

 

出典:Meets Regional(ミーツリージョナル)

 

部位、価格の次にはこだわりが取り上げられるようになってきたということですね。

 

未来予測…原点回帰が次の特集ではないか

 

個人的には、焼肉という領域において生産者まで遡る行為は、もともとの大衆料理からの逸脱を意味しており、そして他の高単価肉料理屋たちとの不利な戦いになると考えております。

 

要は、そこまでこだわってしまうと単価的に焼肉じゃなくても良い。という考えになる、閾値を越えているという考えです。

 

私は焼肉食べ歩きのために、他の肉料理屋(ステーキ、鉄板焼き、肉割烹等)を利用して相対的な焼肉の価値を確かめることは良くします。

結果、感じるのは厚切り肉は焼肉は不利だし、価格が上がりすぎると肉だけではなく他の食材を用い始め、であれば「焼肉」でなくても良いし、

と、どうしてもカテゴリーとしての限界があると思っています。

 

もしかしたら未来の特集では「原点回帰」と銘打たれて、安価なお肉を美味しく食べる手段としての焼肉が取り上げられるのではないでしょうか?

高単価な牛肉ではなく、ある程度の肉とそれを技術と味付けによってすごくおいしく食べる。それが焼肉!というスタイルになるのかもしれません。

 

まあ、根拠は無いですが。

 

次の特集も絶対に買うとだけは心に決めております。